社長ブログ

探して、調べて、比べる

するってぇと

先日不動産データ&ジャーナル誌を見ていたら、「あーあ、やっぱりな」と思うデータが紹介されていました。
「不動産業戦略 2月号」
大京の今期中間決算数字(全取引に占めるネットの割合) 
マンション分譲 ネット成約率 約55%
仲介物件に占めるネット成約率 約30%
東急リバブル中間決算(全取引に占めるネットの割合)
売買仲介 ネット成約率 約12%  賃貸仲介 ネット成約率 約19% 
販売受託 約29% 
このデータから読み取れることは、リバブルさんがネットが苦手だとわかったことじゃなくて(笑)、大京では仲介より早く、分譲におけるネット成約率が高くなっていること。それと販売受託が、いよいよ本格的にネットから取れるようになってきたということです。
インターネットの特性を考えると、どうしてもそうなっちゃうはずなんです。
インターネット時代とは、①探して②調べて③比べることが「無料で簡単」に出来るようになった時代です。
探すことの代表がGoogleだったりYAHOOだったりするのですが、このステップでビジネスを行おうとする企業はお金をもらうのに苦労します。だって皆さん、誰かに何か探してもらった時にお金を払いますか?お礼は言うけどお金は払わないでしょう。そのためこれらの企業は、サービスを利用するお客様からではなく、広告から収益を得るようになります。
それでは探すだけでなく、調べるステップまで進めたビジネスモデルはどうでしょうか?これも実はお金を稼ぐのに苦労します。調べることは言い方を変えれば「データを見る」ことだったり「データを読む」ことです。
もう少し技術的に言えば、「データベースにアクセスする」ということになります。このデータベースは開放されたとたんに、お金が取れなくなります。
ではなぜ開放されてしまうかというと、データベースを作り上げることに、コストや手間がかかるため、自分で作らず一般から広く情報を集めるからです。一般から広く集めたデータを、運営会社が自社の収益のために使ったら、そりゃデータを提供した消費者は頭にきちゃうじゃあありませんか。(不動産業界だけは、お人よしの人が多くて、頭にこないようですけど・・・・・)
ウィキペディア(インターネット上の百科事典)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8
ユーチューブ
https://www.youtube.com/
などがこれにあたります。
これらのコンテンツは、やはり広告に収益を頼ることになります。
一方、一般から広く情報を集めず、自社で莫大なコストをかけてデータベースを構築し、それをクローズの世界で提供すれば、お客様からお金をもらうことが出来ます。
一般にはあまり知られていませんが、たとえばお店を出店するときのマーケティングに使うデータベースがあります。
このデータベースはその地域と業種を入力すると、ライバルの数、年代別人口などが人目でわかるようになっていて、マーケティングを行う上で大変重宝がられています。そのデータは日々更新されていなければ価値がないので、苦労して現地調査を繰り返し更新され続けています。そのためにお金がもらえるんですね。自分でやったら相当大変だと、お客様がわかるからお金を払うんです。
東京カンテイの、マンションデータベースなんかもこれにあたります。
さて、それでは、探して、調べて、比べるステージまで進んだビジネスモデルはどうなるのでしょうか?
これが当社の提供している@dreamのコンセプトなのですが、比べられて選ばれることが出来れば、収益を得ることが出来ます。
「この不動産屋で契約したい」とお客様が思ってくれれば、当然手数料が入ることになるということなんですが、ここでひとつ気をつけなければならないことがあります。
それが、今回のデータに現れているのです。(前フリ長くてすいません)
家捜しをしている消費者は、インターネットで物件を探し、たくさんの物件を見ながら地域の相場がわかり(調べる)、だんだんと物件を絞り込んできます。そして結局買う物件は「ひとつ」だということです。
@dreamは共同仲介という不動産業界特有のルールが、インターネット時代にどう影響されていくのかを研究して、発展してきました。しかし、大京のようなマンションデベロッパーの物件を「選んだ」消費者は、直販であるためにこのルールから逸脱したところで行動してしまうのです。
つまり共同仲介というルールの中では、物件の情報を収集する「苦労」を「自社ホームページ」で公開することが「苦労して作り上げたデータベースを、クローズした環境で提供する」という、お金をもらえるビジネスモデルになりますし、その情報の「提供の仕方」が、「比べられる」ことによってやはり収益に結びつきます。結びついた収益を、さらに追客することによって、顧客化し紹介やリピーターの発生も促せます。
ですが最後に消費者が買うのは一軒です。その一軒が比べることが出来ない(直販)ときにはこのメリットが半減してしまうのです。
「お客様は物件を選んだあと、不動産会社を選ぶようになる。」がインターネット時代の完成形だということが前提の理論ですが、大京の物件を選んだ消費者は、不動産会社を選ぶことが出来なくなるので、物件を選んでもらえさえすれば、必ず契約に結びつけられます。
それが原因で大京の分譲におけるネット契約率が上昇しているのです。
しかし、仲介におけるネット契約率はまだそこまで行っていません。これは@dreamがないからでしょうか(笑)
一方リバブルの販売受託29%は、また別のインターネットの影響を現しています。
歴史を振り返ってみると、@dreamを発売した2001年当時、不動産業界におけるネットの影響といえば、賃貸仲介がネット化された時代だったといえます。
2003年には、賃貸仲介の中でも居住用だけでなく店舗・事務所も。2004年には売買仲介もネット化され始め、2005年にはHPだけでなくメールによる追客が効果を出し始めます。メールの効果が出てくると同時に、携帯でのHP、追客も効果を出し始め、2006年には紹介客やリピータを大量に発生させることになりました。
そんな中でひそかに進んでいるのが、家主さんオーナーさんのネット不動産への評価の高まりです。
2004年位から、東京の品川あたりの管理会社が「ネット対応していない仲介会社には10万以上の物件はもう流さない。」と言い始めていました。
「どうしてですか?」
「だって10万以上の物件に入る人で、インターネットで物件を探さないお客さんなんていないもの。ネット以外でくるお客さんは、ほとんど入居審査に通らない人なんだよ」
同じ頃、「うちの会社はホームページから専任を取ることが出来るようになったのが、@dreamを導入した最大のメリットだよ」という会社も現れています。
実はホームページを一番見るのは、家主さんだったり、同業者だったりするものです。我慢に我慢を重ねていた家主さんたちが、とうとうホームページを見ながら、販売依頼先を選別するようになったということです。
すでにリロケーションは完全にネット化されていますし、仕入れがネット化されるといよいよすべての業務のネット化が完成します。
さて現在リバブルさんはそのネームバリューが利いて、たくさんの依頼がいただけているようですが、仲介実績12%ですから(笑)。今にここから、街の不動産会社に依頼が流れてきます。
そのとき、完全に業界の価値観はインターネット基準となり、本当の勝負が始まるはずです。本当の勝負はたぶんまだ数年先です、しっかり今の業務を続け、そのときにみんなで勝ち組になりましょう。


6 thoughts on “探して、調べて、比べる

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    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    〔後半パート〕
    「不動産業2.0」バージョンを語る/2007年の展望
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  • 【自主リサーチ調査結果】第1回不動産に関する意識調査

    性別・年代によって
    関心のあるトピックは違う!
    ■【自主リサーチ調査結果】第1回不動産に関する意識調査
    -性別・年代によって関心のあるトピックは違う-
    02月13日
    https://www.e-research.biz/profile/pro_1/000637.html
    ■『Webマーケティングガイド』から
    https://www.e-research.biz/

  • 茶太郎 より:

     初めまして、ご著書「インターネット不動産経営 」拝見いたしました。 
     私は門外漢ですが、過日読了した「ビジョナリーカンパニー」という本を連想いたしました。
     基本に忠実に、誠実にというメッセージはまさに不動産業を超えて普遍的なメッセージをおっしゃっているように思えました。
     今後のますますのご活躍をお祈りしています。

  • インターネット不動産経営 勝つための11のセオリー 金丸 信一著

    インターネット不動産経営 勝つための11のセオリー金丸 信一 (2006/04/03)さくらパブリッシング この商品の詳細を見る
     ひょんなことからインターネット不動産の経営セミナーに参加し、インターネット不動産で成功された

  • 金丸です より:

    ありがとうございます。これからも変わらない正しいことを探し続けるつもりです。どうぞよろしくお願いいたします。

  • あさひ より:

    本当の勝負は数年先とのこと。
    当社も必ず勝ち組になろうと思います。

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    Posted by 金丸 : Comment(6) | 2007.2.10.