さらに変化の兆し
昔の話ですが、あるプロジューサーO氏と飲んでいたときのことです。彼は有名なストリートパフォーマーをプロジュースしたあと、数々の歌手のプロジュースを手がけていました。
「大黒麻季が休養したいって言うんだよ。そんなことしたら絶対やられちゃうから、止めろっていったんだけど聞かないんだよ。まったく。」
「何をどう、やられちゃうんですか?」
「同じマーケット。マーケットってファンのことだけど、そのマーケットを狙って新人が出てくるってこと。芸能界はその繰り返しなんだよ。あーあ、まったく。」
「ふうーん」
そんな話を聞いていたので、その後興味を持って芸能界を眺めていました。時をおかず、デビューしたのがあの浜崎あゆみです。
浜崎はその一年間で存在感を増し、大黒が再デビューしたときにはもう太刀打ちできない地位を確立していました。
そういえばサザンオールスターズが休養したときにはチューブが、村下孝蔵さんが病気になったあとには、槙原則之さんが登場しましたね。
こうして間隙を突いて新人が出てくるのです。
マーケットはいつもバランスを取るよう、今まであったものがなくなると、新しい人材や商品を受け入れる体制になるということです。
さて話は不動産業界。
不動産業界でのまたまたマーケットの変化が感じられます。
(最近は良くない変化が多くて困りますね)
具体的に言えば戸建てやマンション開発業者の環境変化です。
サブプライムローン問題が、めぐりめぐって日本の地価に影響を与えると先日書きましたが、その後もいろいろ聞いて回ってみると、もう確実に影響が出ています。
最初に起きたのが銀行による開発業者への貸し渋りです。担保となる物件が値下がりしたり、売れ残ったりするリスクを避けるため(不動産の先下げ感の発生)、今融資している案件が返済されたら、つぎの融資を実行しましょう。と持ちかけ始めました。(実質貸し渋り)
実は販売が好調なのは大都市の中心部か、駅近高級物件だけで、販売に困っていた業者は次の開発案件の融資で資金繰りをまわしています。そこで貸し渋りがおきたのですからやることはひとつ。出来るだけ早く処分するしかありません。
「一括で引き取ってくれたら4割引きで結構です。」
2割下げて、残りの2割で広告打って、販売すればなんとか利益が出るかもしれないと、いくつかの不動産会社が飛びつきました。
でも2割下げて売れるのなら、元々転売なんかしなくて自分で2割引きで売ればいいのです。売れないから4割引くのですから、やっぱり4割引かなければ売れるはずもありません。こうして4割引きで引き取った不動産会社も赤字になります。
そうこうしているうちに年末が近づいてきました。3月の年度末まであと5ヶ月を切ったということです。
年度末を越えて売れない物件を持つことは、財務を劣化させますので、いよいよ損きりの必要が出てきます。そこで5割引きで一括処分し始める開発会社が出てきました。
半値で処分して赤字を出した会社は、それでも別の開発案件を企画しなければなりません。社員の生活のためには、会社の存続が必要で、存続するためには売上を上げなければならないからです。しかし市場の変化に地価は遅れて反応していきます。地価は、まだそれほど下がっていないのです。
ここで目をつぶってまだ下がりきっていない土地を仕入れた会社はお陀仏です。
少し鼻の利く会社であれば、売れない物件を損きりせずに賃貸に振り替えます。分譲するつもりの物件ですから、最初から賃貸物件として作られたものより物が良いので、お客様がつくからです。
しかし、その物件のおかげで回りの賃貸物件のお客さまは減ります・・・・・・・
不動産業界の先輩方に聞いた話に、「不動産は買い時、売り時、休み時」だというものが有ります。
5~7年前を買い時、そして今が売り時だと思っている会社が多いと思いますが、休み時に突入したのかも知れないというのが、私が感じるマーケットの変化です。
ただ資金が無いと“休めない”のがつらいところです。
*前回バブル崩壊後は、この状況のあとバランスを取るように、賃貸仲介の会社の台頭が有りましたが、今度はどうでしょう。
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Posted by 金丸 : Comment(0) | 2007.11.14.