社長ブログ

いまやるべきこと

そこの君寝ないで!

 

昨年のサブプライムローンの爆裂からちょうど一年。

 

アメリカの経済失速が日本に波及するのではないか?

いやいや日本の金融機関はサブプライム関連の投資額が相対的に少ないから、それほど影響はないのではないか。むしろ傷ついていない分だけ積極的に行動できるのでチャンスなのではないか?

 

などと喧しい一年でしたが、どうもある程度はっきりしてきたようなので、今日は時間もあることだしちょっと書きたいと思います。

 

サブプライムローンとはご存知の通り、プライム以下(優良なお客様)の本来住宅ローンが組めないような信用力の低いお客様に貸し出した住宅ローンのことです。このローン債権を銀行はあっという間に証券化して市場に売却していました。

 

80年代日本に製造業で負けたアメリカでは、金融技術を駆使することによる、金融市場を牽引者とした経済発展を目指していましたが、その象徴的手法はこの証券化です。(イギリスはシティーという市場の強化によって経済発展を目指しました)

 

そして証券化する際に、その他のプライムなどのローンとまぜこぜにして商品として売っていたのです。もちろん何がまぜこぜになっているのかわからないと不安なので、格付け会社がその内容を審査して格付けをし、その格付けを信用して市場では取引がなされていました。

 

これらの金融技術はアメリカやイギリスがはじめたものでもあり、他の国の金融機関はノウハウがなかったため、ほぼ独占状態で市場をコントロールできたことが、この15年に渡るアメリカやイギリスの経済発展のベースになっています。

 

ところがこの技術がどんどん発展し、最初につくった証券化された商品を買った人たちが、いくつも買った商品を”また”まぜこぜにして、新しい証券化商品を作りさらに売るようになりました。これが繰り返され、元々何がどうだったかわからなくなってしまったのです。

 

一方サブプライムローンは元々信用力のない人たちに貸し付ける融資ですから、信用力のある人たちに比べて金利を高くしなければ、事故率が高くて成り立ちません。しかし金利を高くしてしまうと、返済ができないのでローンを組めません。そこで当初数年間は金利を安くし、ある一定の年月がたったら金利が徐々に上がるという、日本に昔あった、あの悪名高い「ゆとりローン」と同じ仕組みを作ったのです。住宅価格はバブルのように上がり続けていましたし、アメリカ社会では「ニューエコノミー」と呼ばれる、金融技術を駆使できるアメリカは未来永劫好景気が続く、などという理論が脚光を浴びたりしていましたので、返済額が上がる頃には家の値段も上がるから、その時に買い換えればいいじゃん。みたいに考えた、たくさんの信用力に低い人たちが、サブプライムローンを組んで家を買ったのです。

 

そして返済金額が上がりだす人が急増した昨年の夏、突然ローン延滞率が上がります。これを見た市場関係者はあわてて売ろうとするのですが、みんな見てましたから(笑)売り手ばっかりになり、まったく値がつかなくなってしまいました。

 

日本の路線価なんかもそうですが、取引がなければ価格の決定が出来ません。決定が出来なければほっとけばいいものでしょうが、そうもいきません。何しろアメリカが投資しやすいように、時価会計の制度を世界中にばら撒いたあとですから。時価会計となると、今持っている商品(不動産や株、債権など)を、今売ったらいくらになるかを決算期ごとに計算しなおさなければなりません。

 

しかしまぜこぜを繰り返した証券化商品は、その中身を正しく査定することが難しく、格付け会社も「実は良くわからなくなってました。」と宣言してしまいました。たくさんの債権を買って運用していた銀行はたまったものでは有りません。4半期ごとに(これもアメリカが世界中にばら撒いた仕組み)、どんどん下がる債権を(誰も買わないから)持ち続けなければならなくなったのです。

 

巨大な損失を抱えた銀行は自己資本比率が下がっていきます。日本の金融危機のときBIS規制というものを何べんも聞いたことがありますが、これは銀行の自己資本比率が8%以上ないと、海外での商売ができないというものでしたが、今のアメリカの銀行は債務超過(自己資本比率0%以下)になるんじゃないかとさえ言われています。

 

あわてた銀行は2つのことを始めます。一つは増資による自己資本比率のアップです。(日本でも金融危機のとき、三井住友銀行やみずほ銀行が1兆円クラスの増資をしましたね)お金をたくさん持っている中東の国などがその増資を引き受けました。

 

そしてもう一つが貸しはがしです。銀行の自己資本比率は貸し出しに対しての純資産の比率ですから、分母に当たる貸し出し額を減らそうとしているのです。(これも日本でありました。苦労したなぁ。。)

 

貸しはがしを続けていると、企業活動が停滞し経済が減速します。そうなると(大統領選もありますし)まずいので、また2つの対策を打ちました。

 

一つは金利の低下です。元々4%台だった金利を2%にまで一気に下げていきました。(金利が下がると、お金を借りる人が増えるので経済が活性化する。はず^^)(日本もどんどん下げてしばらく0%になっちゃいましたね)

 

もう一つは通貨供給量の増加です。今アメリカは通貨供給量を公式に発表していませんが(いいのかな)、とにかくどんどんお札を刷っています。市場にお金がたくさんあると、つい使いたくなるからです。つい使いたくなる人が増えると、経済が活性化するという理論です。(これも日本でもありましたね、日銀がいつでも銀行が借りられるお金を数倍にも増やしました)

 

アメリカのドルは世界の基軸通貨ですから、世界中のお金の基本となっています。日本円は一ドルといくらで交換できるとか。ですがドル自体の価値については、アメリカの信用力(政治力や軍事力を総合的に換算して)以外その価値を決めるものは実際ないのです。その為苦しくなったらせっせとお金を刷れば、お金が湯水のようにわきあがるという魔法をアメリカは持っています。安心してというほどお気楽ではないでしょうが、アメリカは経済危機を打開するためにせっせとドルを刷り始めました。

 

「もしかしてドル刷りすぎじゃねー」

 

と市場が考え始めたときに原油相場はBRICls(ブラジル・ロシア・インド・中国)等の経済発展によって既にどんどん上がっていましたが、原油はそのすべてがドル建て(ドルで値段が決まる仕組み)であったため、原油使用量の増大とドルの価値低下でさらに高騰します。そして最後に刷りすぎたドルを持った人々が、停滞する実体経済に投資するより、まだまだ上がりそうなドル相場に投資したために、現在のようなありえない価格まで原油が高騰してしまったのです。

 

原油が高騰すると、経済全体が高コストになります。材料費が上がり、消費者物価が上がります。材料費が上がって困ったメーカーは販売価格に転嫁しようと考えますが、消費者も生活費が上がり、苦しくなっていますから高いものなど買いたくありません。こうして日本にも影響が出始め経済が停滞し始めたのです。

 

いまだに日銀はいざなぎ景気以来の景気拡大が続いているようなコメントをしていますが、実際の肌で感じるところでは、昨年の晩秋が今回の景気拡大の終焉だったような気がします。

 

そのことに気がつかず、いけいけどんどん(日本版ニューエコノミー)で仕入れをしていたマンションデベさんが今大変な苦境にあります。さらにその建築を請け負った建築会社も大きな影響を受けています。

 

東京の久米川での大きな開発現場で全物件800万円引きとか、マンションデベロッパー最大手の大京さんが10%引いても9月までの在庫を処分するとかあちこちで、売れない物件を処分しようとの動きが見られますが、これらの損きりを出来る会社はまだましです。

 

一般の開発業者は、資金繰りが厳しくどうにもならなくなっています。損きりしてもまだ返済額に足りなければ損きりしたとたん倒産ですから、損きり出来ません。すると何とかつなぎ融資を獲得するために、”新しい開発案件”を創出し、銀行融資を取り付けるしか有りません。(ああ自転車操業)

 

そして銀行がその融資を(新しい開発案件)とうとう止めたようです。

ここに進退窮まれり。です。

 (たぶんシステム開発会社や、飲食に対する融資も厳しいスタンスになっています)

 

6月にはスルガコーポレーション、7月は真柄建設と地方大手の倒産が続き、これは9月まで続くと思います。アメリカと同じように、不動産が不景気になると建築はもとより、車、家電などすべての市場に影響します。既に車などは大幅な減速感が出ていますし、家電などでの輸出が好調な企業の業績は堅調ですが、輸出以外の商品は総じて売れていません。

 

イオンが100店舗閉鎖。首都高の交通量20%減。北京オリンピック見学ツアーの販売進捗60%で苦戦。巨人戦の視聴率低下(関係ないか)。

 

タマホームの業績上方修正にはびっくりしましたが、それ以外は景気減速を表すニュースばかりです。

 

アメリカでは今週政府系住宅ローン会社の経営危機が新しく取りだたされています。なんと融資残高500兆弱というとてつもない金額です。

 

これからどうなるのかは誰にもわからないでしょうが、何度も危機を経験している身として(少々えらそうですが)一番大事なことは、生産性を高めることだと強く言いたいと思います。

 

苦しくなったとき、苦しければ苦しいほど一発逆転を狙う経営者が多いものです。

しかし今は新しいことをやるより、自社の生産性を高めることに注力してください。

生産性を高めるというのは効率を上げるということです。不動産会社が今やらなければ成らないのは以下のことだと思います。

 

1.広告の費用対効果を測定して効果のないものは止める

チラシ、捨て看、雑誌、店舗(高い立地)、FC加盟料、ポータルサイトの出稿料

 

2.社員教育

ささやかなことからでいいので、決めたらやる、やったら確認する。(社員教育は教育するほうが数倍大変です。教育されているほうが大変な場合、それは社員教育ではありません)

 

以上です。


2 thoughts on “いまやるべきこと

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  • 暑中お見舞い申し上げます。
    非常に参考になりました。
    よく分析されているのを感心しました。
    向暑の砌 ご自愛の程祈念致します。

  • 金丸社長様
    イヤ~ 非常に参考になりました!
    所沢にて教えて頂いたことも頭に入れながら
    日々仕事に取り組んでいます!
    ますます金町エリアに特化して
    @dream2000の機能を120%使い切り
    年末まで突っ走りま~す。
    9/2の新宿サミットでは、金丸社長の
    斜め前に座らせて頂きますので
    ぜひ、ご教授ください。
    それでは、又!

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    Posted by 金丸 : Comment(2) | 2008.7.17.