ドコモに見るマーケティングの変化
ドコモが新しい携帯の新シリーズを発表しました。
https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/page/081105_00.html
CMを見ていてなんだこれって思った人もおおいとおもいますが、今回は型番の変更によるわかりやすさ(型番が統一され世代がわかりやすくなった)、と供に、おしゃれ感重視の「STYLE」、エンターテインメント性重視の「PRIME」、上質感のある「SMART」、最技術搭載の「PRO」の4つのシリーズが発表になりました。
型番変更によって世代を、シリーズ化によってある程度の自分の好みをイメージさせることによって、「私はおしゃれなSTYLEで最新機種!」だったり、「一世代前でもいいかっ。」みたいな選択が出来るようになったということです。
合わせてあの「なんだこれ」のCMです。何べんも見ないと理解できない物語調のCMですが、数年前からチラシなどのマーケティングの世界で言われている手法を採用しています。(なんていわれているかは忘れました)
ネット以前のチラシは、目立つことに主眼が置かれていました。「元々購買する気があるお客さん」に「おっ」って気がつかせて、反応して行動を起こさせることを目的としていたからです。その為他のお店や商店より先に気がつかせる必要があり目立つ必要があったのです。
ところがネット時代のお客さんは「おっ」て思ってから、ネットで検索してしまいますから、実はチラシをまいた会社が一番損。刺激を受けたお客さんは必ずライバルのお店や、商品を探し出し冷静に比べてしまうので、広告を出した会社より、その分の費用を顧客サービスに振り向けたほうが勝てる可能性が高まってしまったのです。
でもチラシを企画する広告会社は「そういう時代ですか」とそのまま納得するわけには行きません。(つぶれちゃいますから)
そこで一部はホームページなどのネットに流れたのですが、ネット時代でも広告という価値をそのままに生かそうと努力した面々もいたのです。その方々が考え出した方法の中にステップアップ広告とかブランド構築型広告などが有ります。
これは何回も広告を見ることによって、徐々にお店や商品のブランドイメージを作り、最後に消費者が「買うならあそこ」とか「いつか買うならあれ」みたいなイメージを持つことを目的としています。
つまり「元々購買する気があるお客さん」や「すぐに買いたいお客さん」をターゲットにしているのではなく、「興味があるお客さん」「もしかしたら買うかも知れないお客さん」を、何べんも刺激し、検討し選んでもらうことによって「購買行動を起こさせる」事を目的としているのです。
ネット時代とは、単にネットを見るとか、メールを出すとかだけでなく、こんな風にアナログな世界の価値観や行動基準も変化させているのです。
予断ですがこれらの手法がさらに発展して、広告の中でマーケティングが出来るようにもなったと、ある優秀なクリエイターさん教えてもらったことがあります。
その典型的な例が資生堂の「椿」のCMだそうです。
最初の頃の椿のCMは豪華で美しい女優陣が大勢登場し、その高級感をブランドイメージとして定着させることを目的としていたそうですが、今では従来のイメージの女優陣に新しい顧客層に対応する女優を一人入れ、その層がいかに反応するかによってキャンペーンの手法や商品開発に役立てているそうです。
昨年「鈴木京香」さんがCMに登場いたしましたが、(あれっ)て思った方いませんか?たぶん資生堂では京香さんの出ているCMを打つたびに「少々高い年齢層」が椿をどれくらい買うかを調査して(京香さんごめんなさい)、もし反応するようだったら「少々高い年齢層」に向けた椿の商品を開発するのが目的で京香さんを起用したんだと思います。
ずいぶん脱線してしまいましたが、ドコモに戻します。
今回ドコモは「なんだこれ意味わからない」CMを流し、消費者の興味を引き、見続けることによって4つのシリーズの意味を知り。意味をしった消費者は自分はどのスタイルかなと考え、その場合どの機種なのかなと具体的に考え、ネットなどで調べ、その際型式などが整理されているのでわかりやすいHPに好感度を持ち、実際に購買行動を起こす。事を狙っていると思います。
ちなみに最後のところで、わかりやすいHPに好感度を持つというのは、ネットマーケティングの会社が各種調査結果として発表しています。(実は情報量が多すぎるのは評価されていません)
ドコモの戦略がどんな効果を表すかはまだ未知数ですが、皆さんも消費行動の変化をこんなところで確かめるのもいいかもしれません。
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Posted by 金丸 : Comment(0) | 2008.11.30.