私は営業をずーーとやっていると思われがちですが、そうではありません。
 
社会に出たときはフライス職人でしたし(機械職人)、会社が成長するために営業をしなければならないと感じていたのに、誰もやらないから自分でやろうと職人仕事の合間にやり始めただけです。30歳になった時、協力会社の営業部長に「専務お願いだから営業に特化してください。我々下請けのためにも」といわれたのが、営業に真剣に向き合うきっかけでした。
 
その時もちょうど今と同じ環境で、バブル崩壊の寸前でした。
 
この人は優秀だなと思っていた営業さんに、職人の私が営業してくれといわれたわけだから(営業の才能があるかも知れない)と勘違いしたのかも知れません。それから私は期待にこたえたいと初めて一生懸命営業をはじめました。
 
もちろん戦術も何もわからず、ただひたすら「仕事をください」と知っている人に言って回っただけです。そんな中いろんな人が仕事をくれました。儲かるかどうかなんて全然わかりません。でも仕事をくれませんかと一生懸命訴えたから仕事をくれたのですから、一生懸命やりました。自社で出来ないと思ったら、一生懸命協力会社にお願いしました。納期に遅れたら熊本だろうと自分でもって行きました。クレームの電話は全部自分で受けました。だって一杯ある先から私を選んでくれたのだから。
 
そのうちお客さんの会社のパートさんたちが、「もっと高い値段を請求するべきだよ」と教えてくれました。「こんなに一生懸命やってるんだから。」
 
次にお客さんの守衛さんが言いました。「あの部署のあの人のところにいったらいいよ。あの人は必ず出世するから。お宅のように休みも夜中も仕事している会社が好きだよ」「どうも有難うございます。」そう言って、次の日にはその方のところに行きました。「守衛のおじさんが行けって言ったのもですから・・・」
 
一年中仕事をしました。何にも考えずに一生懸命。そのうちどんな風にやったらうまくいくかとか、誰のようにやろうとか、何にも考えなくなりました。誰にも不満はありません。とにかく一生懸命やってその結果が人生なのかもしれないと。
 
それから7年経ったとき、又不景気がやってきました。
 
 
「金丸さん、今の単価を30%下げてほしい。そうじゃないと注文は出せません」
 
社員を集めて聞きました。「仕方が無いんじゃない」それがみんなの総意でした。「わかりました。それでやらさせていただきます」とお客さんに伝えました。もちろん業績は下降します。ボーナスは出せません。残業はさらに深くなっていきます。
 
また3年たちました。
 
「金丸さん、うちの工場も仕事が無いので、今お宅に頼んでいる仕事を引き上げさせてもらいたい」月間売上の60%が無くなる提案です。また社員に相談しました。今度は全員「・・・・・・・・」無言です。
 
はっきりわかりました。相談している自分は責任転嫁しているのだと。相談することによって間違った判断をした時のカバーをしているんだと。そしてその時あのパートさんや守衛さんの顔が浮かびました。「俺はちゃんとやってる。うちの社員も一生懸命やってる」
 
「仕事を引き上げるのなら、是非全部を引き上げてください。我々はその空いた時間を使って新しい市場に挑戦します」
 
資金繰りのあては有りません。借りられるところからすべて借り、もうあと3ヶ月しか持たないと思ったときに、「一生懸命やってくれるなら、ノウハウはすべて教えるからうちの仕事をやらないか」とある大手メーカーから依頼がありました。我が社には不相応なほどの大手のメーカーです。
 
「ありがたいお話です。でもなぜうちの会社にそんな提案をしてくれるのですか?」
 
「ああ、お宅の会社はとにかく一生懸命やるから、付き合って必ず後悔はしないってある会社に紹介されたんだよ。」
 
 
       
      
        	        		
		
      
      
      
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        Posted by 金丸 : Comment(2) | 2008.12.3.
       
     
      
2 thoughts on “営業。。。”