日本の政治家は。。。。
今サンデープロジェクトを見ているのですが、あんまり頭に来るので書きます。
自民党の政治家が、今回の補正予算について説明しています。信用保証協会の保障枠をさらに10兆円上げるとか、融資枠を上げるとか、エコカーを買うときに補助するとか、省エネ家電にポイントを負荷するとか。
そんな時に一つの質問がありました。
「派遣切りなどの問題は、さらに大きな問題を隠しています。工場をとめ、派遣の雇い止めをした企業を、この国はたたき続けています。今日本中の工場では、もう日本に新たに工場は作らないと言っています。」
この話に、出演している政治家二名は的外れな回答をしています。
バカじゃないだろうか。
もう一度「バカじゃないだろうか」
私は今政府のやっていることを見て(たぶん民主党がやっても同じ)二つの大きな憂慮が有ります。
1.経済対策のやりすぎ
一昨年の秋に景気の山があり、戦後最長の好景気が終わりましたが、私の実感ではこの今年の2月か3月が今回の不景気の谷だと思います。残念ながらV字回復には至らず、10月頃までなべ底が続き、そこから本格的な回復が始まると思います。
バブルの崩壊も、第一回の金融危機も、ITバブルの崩壊も経験していますが、それぞれの時の景気対策に比べて、今回の景気対策は際立って強力で広範囲です。マスコミの報道や、政府に対する陳情が多いのでしょう。しかし、文句や要望はだめな人ほど多く、ちゃんとやっている人ほど何も言わず黙々と努力しているはずです。本来政治とはそんな人達の事情を察し、政策に反映させることによって、良い人に悪い人を引っ張っていってもらうことだと思います。いくら悪い人の意見を聞いていても、結局何も好転しないからです。
それなのに選挙対策なんでしょうか、苦しい苦しいという声にただお金をばら撒いているだけ。そしてその額は空前の規模です。50兆円以上のお金をばら撒くということは、それだけお金を「刷る」ということで、市場にお金がジャブジャブになります。バブルはいつもこの現象から始まるのです。そして、ただ単にばら撒くだけの政策は、日本の借金を増やし、将来の負担を増やしていきます。(つまり増税になる)世界の風潮が企業も個人も減税なのにです。この事がさらに悪い事態を誘発するはずです。
2.貿易赤字がやってくる(アメリカの二の前)
マスコミではあまり大きく取り上げられていませんが、今年の2月の貿易収支は赤字になりました。私たちは小さな頃から「日本は資源を輸入して、加工して輸出することによって世界第二位の経済大国になりました」と教えられてきました。その日本が貿易赤字国に転落する寸前なのです。
アメリカは元々製造業の国でしたが、人件費が上がり、輸出をしていては新興国(当時の日本やドイツ)に負けるようになりました。プラザ合意(日本の円は250円~100円まで円高になりました)という為替調整をしても、輸出が持ち上がらなかったことで、さらに海外生産を加速させました。
今アメリカの製造業は、国内での生産は一部でしかなく、海外での生産がそのほとんどを占めています。
人件費とは単純に給与やボーナスだけでは有りません。今回の日本で起きている派遣や契約の雇い止めがいけないとなれば、その流動性のなさも総合的な人件費のアップにつながります。ましてやバッシングされるとなれば「もう日本に工場は作らない」となるに決まっていますし、既にそうなっています。
エコカーや家電に政府の補助がついたとしても、大企業は海外で生産をして輸入するでしょう。その利益は海外の工場に残り(昨年税制が改正されて、海外の工場の利益を日本で課税されなくなった)、日本の税収にはなりません。新しい工場が出来なくなれば、建築の仕事もなくなります。
こうして全産業が衰退していったのが、アメリカだったのです。しかしアメリカはIT化による生産性の向上(日本の7倍)や、金融技術の向上(やりすぎて崩壊しましたが)によって、国力を持ち直していきましたが、日本にそれが出来るのでしょうか?
日本の大企業の経営者は、アメリカの経営者に比べて海外展開よりも、日本国内での生産を優先してきました。世界一高い人件費にも関わらず、逃げずに挑戦し続けてきたのです。その気概が失われていくことが、今回の不景気で最も大きな痛手なのかも知れません。
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Posted by 金丸 : Comment(0) | 2009.4.12.