ネットスーパーの市場規模は08年に200億円を超え、すごい勢いで伸びてきているのですが、今はまだ収益を上げるのが難しいといわれています。ネットで注文を受けた店側では、商品棚から注文された商品を店員が取り、お客様の元まで配達するのですが、その配送コストが価格に転嫁できないことが原因だそうです。
しかしこれは全くインターネットの特性を理解していない販売方法です。インターネットは受注生産を可能にするツールなのです。在庫をもたないことによって価格が抑えられ、それが消費者に支持されたとき、爆発的に成果を上げるもの。そう考えるべきです。だからお店で売る商品をたんにネットで販売したって儲からないのです。
今までのスーパーはたとえばミカンなら、棚にたくさんのミカンを並べ、その前をお客さんがたくさん通り、何人かは買っていく。しかし、せっかく商品棚を作ってミカンを並べているのに、買わないお客さんのほうが断然多い。そして並べてあるすべてのミカンが売れるはずはなく、残ったミカンは廃棄処分される。その廃棄コストは当然売れたミカンに価格として乗っているわけです。
さらに商品棚のスペースも、販売する店員のコストも商品に乗っているはずです。これを打開するためにインターネットを活用するべきです。キーは受注生産。つまり注文を受けてから、すぐに配達するのではなく(その場合は配送コストを顧客に要求するべきです)、1日でも2日でも時間をくれれば、配送コストはタダでも元が取れるはずです。注文してから発注して、入荷してから配達すれば、在庫にかかるコスト、店員のコスト、商品棚のコストが削減でき、配送コストをカバーできるからです。
すでにこの方式は「生協」や「ヨシケイ」などが実践して成果を上げていますが、これと同じことがスーパーにも可能になるということです。インターネットのおかげで。
さらに言えば、イトーヨーカドーで洋服を買うとき、選んだ洋服を「2週間後でいいです」と言えば1割引きになるというサービスも考えられます。注文を受けてから作れば在庫のコストを価格に転嫁する必要がないからです。これもやっぱり在庫をもたないメリットがもたらす、店側にとって痛くない値引きです。
確か兵庫県にある急成長している通販の会社がありますが、この会社、毎月定額を払うと、スタイリストが勝手に洋服を選んで送ってくれるそうです。センスがいいとか、その他の要件もあるでしょうが、この会社のビジネスモデルも在庫ゼロです。
これが世の中の進む道であるならば、いち早く既存店舗を縮小した会社が勝つ可能性があります。さらにコストを下げられるからです。これは不動産業界でも起きたことですよね。時代が変わる時には、早く転換した会社ほど成功確率が高い。
こんな風に考えていると、ユニクロのビジネスモデルにさえ危うさを感じます。ユニクロも強力な販売力をもって、大量に発注することによる価格競争力で伸びた会社だからです。いったん売れなくなったら、在庫の山になるビジネスモデルは危険な時代に突入しているのです。もしかしたらトヨタのようになるかも知れません。
こうしてインターネットがもたらすビジネスモデルの変化が、製造業だけでなく、他の商品の販売現場における在庫に対する意識を高め、さまざまな影響が出てきているのですが、そもそも開発さえしなければ、在庫をもたないビジネスモデルを長いこと実践してきた不動産会社はどうなるのでしょうか?
初めに書きましたが、不動産業界はもう10年も前からインターネットの波にさらされています。そしてその波間で迷い、苦しみ、生き抜いているのです。当然他の業界に先駆けてインターネット時代のビジネスモデルを提示できるはずです。
その解は、成約率の向上とリピート客の獲得しかありませんよね。
(あー。結論は、やっぱりいつもと同じになってしまいました。)
あまりに収益力の高いビジネスモデルであったが故、見過ごされてきた成約率の向上。これがこれから成長する不動産会社の絶対条件になると思いますし、インターネットを取り入れ成功するスーパーの、次世代の解にもなるはずです。
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Posted by 金丸 : Comment(4) | 2010.5.8.
4 thoughts on “受注生産その2”