社長ブログ

朝日新聞にこんな記事がありました。あっちでも、こっちでも何か起きるとデータベース化が進みます。 

耐震強度偽装やガス給湯器による一酸化炭素中毒など、住まいの安全にかかわる事件事故の続発を受け、国土交通省は07年度から、個々の住宅本体の改修や設備機器の点検などの履歴情報を蓄積するデータベース作りに乗り出す。今後3年かけてまず業界統一の情報登録・管理システムを整えたうえで、データを集め、欠陥製品のリコールや住宅売買時の情報提供に活用する。住宅のトレーサビリティー(追跡可能性)を高め、消費者の保護と中古市場の活性化をめざす。
 国交省によると、情報システムの開発と普及は、同省外郭団体の財団法人ベターリビングと住宅金融公庫(4月から独立行政法人・住宅金融支援機構に改組)が主体となり、同省が補助する。
 データベースには、戸建て住宅やマンションを新築した際の設計図や施工に関する情報のほか、耐震診断やリフォームなど改築、修繕、点検の情報を蓄積する。住宅性能表示制度に基づく耐震性や防音などの評価を登録すれば、住宅の価値の客観的な把握にも役立つ。
 給湯器やエレベーター、火災警報器など、住宅に備え付けられた設備機器の製造番号や修理記録の情報も登録する。どの家にどの機器があるか分かっていれば、製品の欠陥で回収修理が必要になった時、メーカーは速やかに対応できる。
 住宅の柱やドアなどの部材、設備機器類の情報の登録方法として、国交省はICタグ(電子識別票)の利用を念頭に置いている。ICタグからは、製造番号や取り付け日などの情報が微弱な電波で発信され、読み取り機で受信した情報をコンピューターに蓄積する。
 住宅機器でのICタグ利用による履歴情報システムは、ベターリビングが今年度に開発した。今月下旬から、火災警報器について、都市再生機構の共同住宅63万戸に取り付ける分の登録を始める。今後は、ガス給湯器など生命・財産の安全にかかわる機器類に活用を広げていく方針だ。
 日本の住宅市場は新築住宅に偏り、中古住宅の流通シェアは03年度で13%。米国(78%)や英国(89%)より大幅に低い。中古住宅の流通が広がらない理由として、改修や修繕など履歴情報の不足が指摘されてきた。政府は15年度までに中古住宅の比率を23%に高める目標を掲げている。


Posted by 金丸 : Comment(1) | 2007.3.2.

最近の東京都心の地価の上がりかたは、まるでバブルを彷彿とさせる様相です。しかし、今日の日本経済は割りと冷静にその状況を眺めているように見えます。
地価が上がり、企業所得も最高益を更新し、2000万円以上の収入のある世帯の数がバブル期の2倍を超え、それでもあの時の熱狂的(お祭り的)な雰囲気は感じられません。
これはひとえに、バブルの理由がはっきりしているからに他なりません。
地価が上がったのは主に東京の都心です。
実は東京都の都心では、2000年頃に景気回復策として建築基準法が改正されています。同じ土地に大きな建物が建つようになったのです。
需要がある土地で建ぺい率が上がれば、そりゃ土地の値段は上がります。
これが超高層マンションを生み、バブル時に比べれば相対的に広い物件が安く供給され、お客がつき、取引が活発になり、結果として地価の上昇を促しました。
そんなところへ、不動産投資信託の登場です。不動産投資信託とは、幅広い投資家から資金を集め、不動産物件に投資することによって、そこから上がる収益を分配するファンドのことですが、超低金利時代で資金の運用に困った機関投資家(地方銀行や生命保険会社、損害保険会社、年金基金など)が、利回りを求めて都心の物件に殺到しました。
ファンドは投資ですから、投資家は基本的にいつでも売り逃げることが出来ます。そこが一般消費者が自分の財産をかけて物件を買うことと違い(ただし市況が悪いときには、安値で売却せざるを得ないので、全然損しないわけではありません)、勢いづくと今のようにバブルになるのですが、前回の時と違い一般消費者や街の不動産会社の多くは参加していませんので、もし崩壊したとしても社会的にそれほど影響はないと思われます。
バブルの本当に怖いところは、一般消費者や中小企業がこの流れに巻き込まれたときです。
それではなぜ一般消費者や土地取引に疎い中小企業が、巻き込まれてしまうのでしょうか?
ここに銀行の融資姿勢があります。
一般的な企業の場合、儲かっていれば割りと誠実な商売を行うことが通例ですが、銀行の場合、儲かれば儲かるほどだんだんまずい方向に向かう性質があります。これは「お金」が商品であることが原因だと私は思っています。
10年ほど前の銀行は、収益のある優良な企業向けの貸し金でさえ引き上げを行っていました。(貸しはがし)この頃の銀行の目標は自己資本比率。自己資本比率の低い銀行は財務省や金融庁につぶされたからです。
銀行の場合、貸し出し金が財務諸表上は負債と判断されるため、自己資本比率(経営の安全性を確認する指標)を高めるためには、貸し出し金を削減するか、利益を上げるか、資本金の額を上げるしかありません。そして一番やりやすい、貸し出し金の引き上げに走ったのです。このためにどれほどの中小企業が苦労したことでしょう。
さて、そんな暗黒の時代をすごし、やっとつぶされる心配がなくなった最近では、打って変わって収益力が銀行の評価に変わりました。
そしていきなり「融資を増やし始めた」のです。
(この辺が雨の日に傘を奪い、晴れの日傘を貸すといわれるゆえんです^^)
現在の銀行は、いろいろな金融派生商品やら、手数料稼ぎやらの新しい収益源の開発も行っていますが、基本的には融資をして金利を稼ぐのが伝統的に銀行の生業です。そして金利は365日、何もしなくてもしっかり稼いでくれる天下の宝刀でもあるのです。
今まで貸しはがしをした企業にも、またお金を貸し始めた銀行は収益が上がり始めます。そして決算。後ろ向きだったバブル以降、やっと前向きに収益を稼ぐための行動を起こし、そして結果を出した銀行内は湧き上がります。改めて融資を受けた企業にしても、「あの時はひどかったじゃないか」と、皮肉のひとつも言いますが、それはそれ、ビジネスの世界で銀行融資は欠かせませんから、銀行の姿勢を許します。
しかし決算が終わった後、銀行の幹部は言います。
「暗黒の時代をみんなで乗り切った我々は、いよいよ打って出るんだ。後ろ向きな日々よさようなら、前向きなバンカーとして日本を支えるんだ!」
そして対前年度120%の収益計画。「ええー」と行員は思いますが、最悪期から脱したばかりですから、まだ市場はこれからです。「がんばってみるか」とまた一年がんばります。
そして決算。計画達成です。そしてまた行内は沸きあがり、安くなったボーナスが元に戻り、閉鎖ばかりしていた支店がまた増えだします。支店が増えるということは、ポストが増えることでもあり、行員は将来の希望も見えてきました。そんな中で新しい経営計画が発表されます。対前年度120%の収益計画。
おととしはまだ良かった。去年もまだ良かった。でも今年は・・・・・・・・・・・。
金融庁の検査はまだきつく、経営状態の悪い中小企業にはお金を貸せません。新製品も売れるところには売ってしまいました。毎年毎年上がるノルマをこなすには、何をすればいいのか?
貸し出し金は毎年何十億と増やさなければなりませんが、返済された分がへるので実質去年の倍の融資をこなさなければならない現実を突きつけられたとき、小口の融資をいくらしてもまったく計画に届かないことに呆然とする銀行マン。
そんな時、分譲や開発をしている不動産会社がターゲットになるのです。不動産会社の開発計画に対する融資は基本的に計画時に実行されます。書類だけで融資が実行できるのです。その規模はほとんど億単位であるために、簡単にノルマをこなすことが出来ます。
しかし、その融資は短期(一年以内)がほとんどであるため、今年のノルマはこなせても来期には返済されてしまいます。来年また新たな融資しなければ、何倍もの他の融資を獲得しなければならないのです。
そしてまた一年が過ぎます。またもや対前年120%の利益計画。もう三年前に比べると3倍もの融資を獲得するしかありません。しかし一度不動産開発融資にその数字を依存してしまった銀行は、他の細かな案件をいくら獲得したとしても、計画を達成することは出来ないほど不動産融資に依存しています。
その結果、だんだん融資の基準が緩んできます。(ええい、俺だけじゃないだろう。赤信号みんなで渡れば怖くない。)とみんなが思いはじめ、目先のノルマをこなすために「とにかく開発案件があれば、当行がご融資します。」と現場で営業マンが押し込むようになります。そんな話を何回か聞いた不動産会社は、高めの物件でも、とにかく早めに売ってしまえばなんとかなる、自分だけはババを引かないと考え始めます。しかし、そんな風に銀行にもちかけられているのはその会社だけではありません。そんな時、本来行き過ぎた取引を制御する役目の銀行の審査部でさえ、定年間近になった役員や上司が、今月、来月の成績に躍起になり始めたことを感じ始めます・・・・・・・・・・・・・・・・・
ちょうどその頃、なぜかあまり業績の良くなかった中小企業も業績が回復してきます。不動産業界が日本全体の景気に与える力が大きいからです。しかしその実態は、緩んだ経営計画と緩んだ審査によって成り立った好景気です。
「どうかな。2000万円ほど融通できないかな?」
「結構です融資させていただきます。」
社会全体の好景気に持ち上げられるように業績が良くなった中小企業は、要注意先からなんとか融資対象先に格付けが上がります。
やっとうちの会社も銀行が振り向いてくれる会社になったと喜ぶ中小企業の社長。久しぶりに出た利益を税金で失いたくないので、銀行融資で設備投資を行います。せっかく新しい設備が入っても、使う社員がいなければ宝の持ち腐れですから、社員を雇います。そんな会社が増えた結果、失業率が下がります。その為新しい社員がなかなか獲得できなくなります。仕方がないから募集する給与基準を上げます。新人を上げるためには、今まで安月給で我慢してもらっていたベテラン社員の給与も上げなければなりません。
給与が上がり、会社の売上が上がり、新しい設備を導入した中小企業の会社内は盛り上がります。生活に自信を持った社員は家を買います。家具を買います。車をローンで買います。そして会社はどんどん成長戦略を立て、新しい仕事に取り組み、新たに銀行融資を受け、社員を雇い、給与を上げます。日本のサラリーマンの90%以上を抱える中小企業はよみがえったのです。
銀行が不動産会社に対する融資をカバーするために、どこでも良いから融資されているとも知らずに・・・・・・・・・・・・・
そしていつか不動産物件が売れなくなったとき。これらの循環が突然止まります。


Posted by 金丸 : Comment(0) | 2007.2.28.

ベタ記事でしか紹介されていないし、皆さん知らないと思うので、不動産業界にもしかしたら影響する海外の話題をひとつ紹介します。

”住宅価格の高騰する英国で52年ローンが登場”
住宅価格が全国的に高騰している英国では、ついに52年かけて返済を完了する住宅ローンがお目見えした。大手スーパーのテスコが提供しているローンで、そのほかHSBC銀行系のファースト・ダイレクトが47年、アライアンス&レスターが40年のローンを手がけている。英国では25年型ローンが主流だが、このところの不動産高騰で毎月の返済額がうなぎ登りとなっており、若い購買層を取り込むためにはローンの期間を延長するしかない。
住宅ブームはまだまだ続いており、この一年で全国の住宅価格は平均9%上昇した。とりわけロンドンでは一般庶民のは手が出ないほどの高価格。そのため、ローンを提供する側もあの手この手を使っている。
英国では通常、ローンを組むための上限は年収の3,5倍だが、アビーは5倍、モルガン・スタンレーは年収の7倍まで融資してくれる。借りるほうにとってはありがたいが、今後の金利上昇で返済が苦しくなるかもしれない、と専門家はアドバイスしている。

これって究極のバブル崩壊延長作戦ですね。それにしても52年とは・・・
たぶん18歳でローンを組めて、70歳までに返済してくださいってことなんでしょうね。日本では「親子ローン」というのがあって、確か100年みたいな企画も聞いたことがありますが、さあこれからどうなるんでしょうか?
ちなみに金融ビックバン(96年から)以来、日本の規制改革はほぼすべて「外資」の参入によって進んだことを付け加えておきます。


Posted by 金丸 : Comment(0) | 2007.1.12.

いきなりですが新しい本が出ました。
とは言っても自分で書いたんじゃありません。
「元気の出る経営塾」~がんばる中小企業~オーム社
という本に仲間の18社と供に取り上げられたということです。
このオーム社はバリバリ技術系の雑誌で日本一の歴史を誇る由緒ある月刊誌を出している出版社です。その雑誌の中で一橋大学の関満博教授(この前中国につれってってくれた先生です)が連載を持っているのですが、そのインタビュー記事をオムニバス形式に紹介した本です。
まあ、中小企業ですからあんまり目立たない縁の下の力持ちみたいな会社がほとんどなのですが、いくつかのカテゴリーに分けて紹介されています。
第一章 元気な中小企業はここが違う
第二章 ゼロからの起業、どん底からの再生
第三章 大企業から転職して親の会社を継ぐ
第四章 オンリーワンを目指す
第五章 ネットワークを活かして仕事を創出
エピローグ 新たな連立方程式を解く「喜び」
さて当社はどこに掲載されているでしょうか?(笑)
やっぱり第二章のゼロからの起業、どん底からの再生のどん底からの再生担当です。(いっつもこれですね)
ちなみに我が社の前に紹介されている「株式会社虎の穴」という秋葉原でキャラクターグッズを売って、100億円の売り上げを上げてしまった会社はゼロからの起業担当です。(吉田さんいいな)
半分くらいの会社の社長さんとは、お酒を飲んだり、旅行に行ったりしたことがあり(なるほどねー)と思うようなことが書いてありますが、直接知らない方でも参考になる話がたくさんあるはずです。
これから和歌山へ出張しますので、私も道すがら読んでみたいと思います。


Posted by 金丸 : Comment(0) | 2006.11.30.

久しぶりに仙台に来て、なつかしいあの頃を思い出します。
およそ10年前、私は毎月最低1回仙台にきていました。目的は多賀城にある仙台ソニーと取引を開始するためです。簡単に言えば飛び込み営業をしていたわけです。
もちろんまったく縁もゆかりもないのでは、担当者に会うこともできませんから、東京の本社のメンバーの紹介やら、転勤で仙台にきている人たちをたずねたりしていたのです。
それはそれは昔、ソニーは大崎に工場があったのですが、初めての本格的な工場として厚木に新工場を作ります。そしてその厚木工場の次にできたのが仙台工場なのです。今では世界中にたくさんの工場を持つソニーの中でもとても伝統のある工場です。
今の仙台工場がどんな製品を中心に作っているのかは知りませんが、当時の仙台工場はメディアといわれる、記録媒体の開発、製造が主な役割でした。
記録メディアとは、今ならDVDなどをさしますが、当時はベータマックスのビデオなどを作っていました。
面白いことにベータマックスビデオはVHSに負けてしまったけれど、それでも少ないファンは残っていて、そのファンたちはベータの画質がいいから買ってくれるので、値引きなどをする必要はなく、その上まったくライバルがいないので、仙台工場でもっとも利益率の高い製品だったそうです。
そういえばソニーという会社は、いつも他のライバルメーカーたちと違う製品を作っていました。
ベータマックスのビデオだけでなく、ウォークマンやトリニトロンテレビ。
ウォークマンやトリニトロンにも少なからず思い出があります。
ブラウン管テレビの構造はずいぶん昔に確立された技術ですが、実は2種類あります。ソニーはその一方の技術「クロマトロン」方式をただ一社採用していました。これは他の会社と同じ製品を作らない伝統がそうさせたのでしょうが、実は大変なリスクで、まともな製品になるまで10年以上かかったそうです。そのせいで大変な業績不振も経験したのですが、社内の強烈な反対を押し切り最後には製品化に成功します。
このクロマトロン技術を使った日本製のテレビををトリニトロン、そしてその研究開発を行っていたのが、ソニー厚木工場だったのです。
トリニトロンとは簡単に言えば、シャドウマスクといわれる湾曲した穴の開いたシートをブラウン管の前面ガラスの下に使わず、アパーチャーグリルという湾曲していない部品を使うテレビですが、シャドウマスクが湾曲しているため安定感があるのに比べ、安定させるために上下に2トン程度の力で引っ張っておく必要があり、その構造がコスト高で、さらに技術的にも難しくどこの会社も手を出さなかった技術です。
しかしこのことが数十年たったときに大変な成功をソニーにもたらします。
テレビのブラウン管の中は真空になっているのですが、その真空を維持するためにはブラウン管のガラス自体に強度が必要です。そのためテレビの画面は丸く湾曲していました。その湾曲にあわせてシャドウマスクという部品も湾曲していました。
ソニーのアパーチャーグリルは湾曲していず、上下に引っ張って安定させていたわけですが、あるガラスメーカーが湾曲させなくても強度を保てるガラス素材を開発したのです。もちろんそのメーカーの技術者はソニーをたずねて、製品の紹介をします。
当時テレビのブラウン管は湾曲していると常識的に思っていた私たちですが、ソニーはガラスメーカーの提案を受け入れて平面テレビを発売します。そうあの「ベガ」です。
ベガが市場の予想をすべて覆す大ヒット商品になり、他社も追随しあっという間にテレビは平面ブラウン管が当たり前になってしまったのです。
しかしここでライバルメーカーは大変な不利になります、何しろすべての部品が湾曲しているのに最後の最後に平面にしなければならなかったのですから。
仕方がないので普通にブラウン管を作ったうえで、平坦なガラスを貼り付けるなどの付け焼刃的な対策を打って平面テレビを発売します。最初から平面的な構造を持っているトリニトロンに比べて、コストがかかる他のメーカーはどんなにがんばってもソニーに勝てるわけがありません。
ウォークマンも常識はずれの製品でした。
ウォークマンが世に出たのは、音楽が割りと高尚な趣味であった時代。人生に成功したら居間にフルスペックのステレオを置く。そんな時代です。そんな時代に携帯音楽プレーヤーを発売したのです。
その後ウォークマンは長きに渡ってソニーの収益の柱となります。
10年ほど前、ウインドウズ95が発売され、パソコンがだんだん当たりまえになってきた頃。
「ウォークマンも今のパソコンの普及を考えると、ハードディスクを搭載して、何千曲もデジタル録音できる時代がやってきますよね。」
「いや、実はもうできてる」
「やっぱり。だって考えたら構造単純だし。でもそうなるとカセットテープやMDみたいに駆動系が必要ないから、結構簡単に製品開発できちゃいそうですね。いかにビジネスモデルを作るかが重要ですね。でもウォークマンって言うブランドを持っているソニーさんは断然有利ですよね。」
そんな話をしたのを覚えています。
しかし結果は予想に反してまったく違うことになりました。
ソニーは携帯音楽プレーヤーの発売をアップルに先を越され、市場を失ってしまいます。
ベガによって「テレビは平面」を全世界に普及させたソニーが、薄型テレビではまったくもって市場投入が遅れ、そして会社は現在のような大変な苦境に陥っています。
*薄型テレビは現在韓国のメーカーと共同で製品供給を始めて、やっと盛り返しています。しかしこれはソニーの世界規模での販売力によるところが大きく、製品力ではない。
最近のソニーの苦境を見るにつけ思うことがあります。
ソニーは社内の反対を押し切り、10年に渡ってトリニトロンを開発して成功を収めます。常識はずれのウォークマンを作り、会社の柱に育てました。
しかし、ベガがあまりに成功し市場を独占したことにより次の製品を作ることに躊躇したのでしょう。何しろせっかく成功した市場を壊してしまうのですから。そのため薄型テレビでは完全に出遅れました。
デジタル音楽プレーヤーは10年も前に製品化できていました。でも本格的市場投入はされませんでした。そうこうしているうちにアップルに市場を席巻されてしまったのです。市場投入が遅れたのは、今せっかく売れているウォークマンが売れなくなってしまうからでしょう。
企業はいつも市場でライバルとの競争にさらされています。ライバルに勝つために努力を続け、そして結果を出していきます。
しかし、結果を出したそのときから新しい挑戦が始まっているのです。そして結果を出した会社であればあるほど、その新しい挑戦の相手は「成功した過去の我が社」であることがほとんどなのです。


Posted by 金丸 : Comment(4) | 2006.10.22.