社長ブログ

何がデジタルかアナログか、判る?
ある日、サポーターの増上寺君に聞いてみた。彼女は文学部の脳を持っているのでこの手の話は苦手そうである。
 「あ、高校生の時に聞いたことがあります」
 「ほうほう」
 「デジタルは『字』が『出る』から『デジタル』」
どこでそんな話を仕入れたんだ。
増上寺君を含め、世の中の人が判るように話しましょう。微妙に残っているエンジニアの血を沸き立たせて。
デジタル、それは単独で成り立つデータであり、アナログは前後があって成り立つデータのことでです。判る? まだ判らないでしょ。
たとえば電話。特に糸電話。これはアナログ。
紙コップと紙コップが糸でつながれている糸電話。紙コップに向かって声を出すと糸に震えが伝わって、その震えが相手の紙コップに伝わり増幅される。つまり、声(紙コップ)から振動に変わり、声(紙コップ)に戻す。これが糸電話の仕組み。
電話も同じ。声を電気信号に変えて、声に戻す。
ところがこの糸電話、途中で糸をつまんでしまったり、風が吹いたら聞こえなくなってしまう。風が吹いたら振動が変わってしまうでしょ。振動が変わると元に戻せなくなってしまうから。何故かというと、声を一つのルールで振動に変えたのを元に戻すのはやっぱり同じルールで戻さなくてはいけないのに、その振動が変わってしまっては同じルールでは元に戻せなくなってしまうから、と言うわけです。勿論この時、一方の紙コップをガラスのコップに変えても正確に声は伝わらない。
 これがつまり、アナログ。
次に、デジタル。デジタルと言うのは「1」と「0」の信号のこと。糸電話に対して手紙がデジタル。
デジタルとはその情報を「0100100001111」てな具合に変換して相手に伝えるのですが、これは風が吹いても変わらない。どんな邪魔が入っても変わらないデータ。
でも大雨が降っていて相手に手紙を渡す際、字が消えてしまっていたとしたら…
情報は伝わらなくなる。でも違った情報にはならない。そう、ここが一番大事なところ。
どんな情報を伝達しようとしたとしても(例えば電話で、例えば声で)、その情報が正確に伝わらなくなる原因があり、これを一般的にはノイズと言うのである。
ノイズは厄介なもので、最先端製品を開発しようとすると(キヤノンでもソニーでも)
最終的にはこのノイズ除去が出来るかどうかがキーポイントになることが多々あります。
糸電話をつまむ指や風がそのノイズに当たるのですが、デジタルの場合ノイズの影響がほとんどない。
つまり伝わるかどうかの問題はあるが、違った情報に変化することはないということです。
これがIT(情報技術)革命を起こした根本なのです。
 情報が変化しないから使い回しが出来る。
このことがデータベースを構築することを我々に促し、世界中で業務の合理化を推し進めることが出来るようになった原因なのです。
(その2に続く)


Posted by 金丸 : Comment(2) | 2006.2.8.

「あのーこんな人が会いたいってきてるんですが?」
部下が持ってきた名刺には日本郵政公社と赤い字で書かれていた。
(ふーーーーーーーん)
「いいよ会ってみるよ」と答えると
「あそこの人です」と指差す。
なんだかおびえたような表情の
若者か年寄りかわからないキャラの青年が立っていた。
こういう青年を見るとなんとなくかわいそうな気がして
話をしてあげたくなる自分に年を感じながら、応接に一緒に入った。
まず目に付いたのが「くつ」。
当社は玄関で靴をスリッパに履き替えて入ってくるのだが
履き替えていない。つまり土足で知らない会社に入ってきたわけだ。
それは許そう。かわいそうな気もするし。
「で、何?」
「ゆうゆうパックって知っていますか?」
「名前は知ってるよ」
「どんな内容かわかりますか?」
「んっ。ちゃんとは知らないけど。たぶんこんな風かなって想像してる。
まずヤマト便や佐川に比べて高いだろうな……遅いだろうな。
でも安全ですなんて言うんだろうな。そんな感じ」
「そうなんです」
「あほかお前。それじゃ営業じゃないだろ」
「いえ。こんな風に話てもらえるだけでまだましです。
たいていは門前払いですので。現場の意見が聞けてうれしいです」
(まあ、今まで営業してなかったんだろうから。こんな甘い営業でも仕方がないか。
たぶん最後までうちを使ってくださいなんて言わず、
別れ際に名刺だけでもくださいって…
上司に飛び込み訪問をしたことを証明できるだけで十分なんだろうな)
そんな風に思ったのだが、いろいろ話は聞いてみた。
郵政公社が来年の10月には完全に民営化されること。
宅配便と違って、集荷、配達、営業担当ががそれぞれ分かれていること。
(配達に来た人は、そこに集荷する荷物が置いてあっても持っていかないんだって)
コンビニをヤマト便から奪ったけれど、結局個人の依頼なんて微々たる物だったこと。
法人からの注文を取れなければならないと営業してみたが、どこもかしこも
郵政公社のほうが高い、遅い、サービスが悪いと思っていること。
なんだかかわいそうにもなったので、
「今が一番苦しい時なんじゃないの。
価格もシステムもサービスも遅れているかもしれないけど
後は良くなる一方なんだもの。がんばっていればいいことあるよ」
「でも、来年の10月には完全民営化で。
今までは公務員として身分が保障されていましたけれど、これからは違うんです。
もしかしたらその頃には、僕もクビになっているかもしれません」
悲しそうに不幸な自分を語る彼の姿を見て腹が立ちました。
「お前は何にもわかっていない。今宅配業界のシェアはどうなっている」
「ヤマトさんと佐川さんが3割づつ、
残りの4割を日通やらフットワークやら福山やらがやっています」
「それで」
「それら大手で9割以上だと思いますが」
「そこに巨大なお宅が参入するんだ」
「ええ」
「いいか。お前のクビが飛ぶかどうかは俺にはわからん。お前の上司も然りだ。
だが確実に言えるのは、郵政公社が民間として参入してきた時に、
つぶれる中小企業があり、路頭に迷う従業員がいるってことだ。
なんでお前ら自分のことばっかり言ってるんだ。そんな連中のこと考えたことないのか」
「すいません」
「いや。言いすぎた。まあとにかくがんばってください」
「ありがとうございました」
「いただきます」とコーヒーをごくごく飲み干してから、
「すいません。良かったら名刺を一枚いただけませんか?」
やっぱりうちを使ってくれとは言わなかった……


Posted by 金丸 : Comment(0) | 2006.2.3.

実は「増上寺」という名前には一生忘れられない思い出がある。
数年前、会社が資金繰りで苦しい時代があった。
「後10日で決済できないと、もうだめだ」と言うぎりぎりの時、
最後の望みを銀行の融資に託していた。
当時の担当者、永平寺君が結果を携えて1週間前にやってきて
「審査に落ちました」
もうこれでだめだと、何の当て所もないけど
うな垂れる彼に「もういいよ」と言った。いや、それしか言う言葉がなかった。
後で聞いた話だが、永平寺君はうちのために上司と大喧嘩までしてくれたそうである。そんな彼を責める言葉なんてない。
何の当てもなく諦め気分が漂う中で、彼が突然立ち上がった。
「そうだ!市役所がある!」
それだけ叫んで彼は会社から飛び出していった。
意味も分からず取り残された。
だが1時間後、永平寺君は市役所の保証融資申請の手続きをして帰ってきた。
後は書類を出せば通る、その書類を手にして。
そのおかげで立ち直った。そして今の我が社がある。
この子を一生忘れないと心に決めた。
いつか必ず彼に恩返しをしたいと、今日までやってきた。
いい会社になるのが恩返しだと、一生懸命やってきた。
そんな彼のことを一生忘れられない。忘れられるわけなんかない。
じゃぁ、一生忘れられない名前は「永平寺君」じゃないかって?
実はそんな恩人の彼を、名前を覚えられない私は、
「増上寺君」
と1年半も呼び続けていたのでした。


Posted by 金丸 : Comment(0) | 2006.2.2.

「実名を出しちゃいけない場合もあります」
サポーターの増上寺君が言う。
「だからと言って、全部イニシャルでもつまらないですよね」
面倒くさいことを言う。
ブログに登場する人物の名前をどうするかという話。
「じゃあ、宮坂さんにする」
「宮坂さん?」
「そう、出てくる人は全部宮坂さん」
「…なぜでしょう」
35年も続いている小沢昭一のラジオ、彼のラジオでは登場人物は全て「宮坂お父さん」なのだ。これが面白い。
「みんな宮坂さんにする」
「却下です」
ものすごいいい思いつきだと思ったのに、即答されてしまった。
面白いのになあ。
「初めて読んだ人もある程度分かる内容にしないとだめです。
初めて読んだ人が、出てくる人出てくる人みんな宮坂さんだったら、混乱しますよね?」
「でも、面白いと思うよ」
「却下です」
しかたないので、とりあえず当社のスタッフには仮名をつけることにした。そのほか仮名に出来そうな人はみんな仮名。
「営業のM君は、海底王ね」
「どん底って意味ですか」
「違うよ、そんなひどい意味じゃない」
「これ以上下がりようがない、とか」
「違うけど近い」
「あ、やっぱり近いんですか。
ちなみに、私はなぜ増上寺なんでしょう」
「増上寺、という名前には忘れられない思い出があるんだよ」


Posted by 金丸 : Comment(0) | 2006.2.1.

歯の治療中である。仮歯が入っているので、ふがふがするのでしゃべりにくいことこの上ない。驚いたことに仮歯が入っていると顔が伸びる。5mmほど。
サポーターである増上寺君にその話をすると
「横にですか」と言う返事が返ってきた。
何故横に伸びる。アホか。
縦に伸びるのである。意外な発見。
ところで歯の治療をしていて知ったことがある。
今まで勘違いしていたが、これはきっと自分だけではないはず。
人の顎って、上顎も下顎も両方ともに動いていると思っていた。
ところが実際には、下顎だけが動いているそうである。上顎は頭蓋骨から続いていて、動くのは下顎だけ。なんとなくであるが、上下ともに動いているつもりでいたので、これは軽い驚き。
皆さんもきっとそうでしょ?なんの役に立つのかわからないがマメ知識が一つ増えた。
ふがふがな歯の治療も役に立つ。ちょっといい気分だ。
知識が増えるといい気分になる。
しかも「ちょっと意外」なことだったりすると尚更である。
マメ知識が増えると何かの折に披露するのであるが、これは別に「俺ってこんなこと知ってるんだぜ~」と言うことではなく(ちょっとはあるかも)、「ほらほら、僕も知らなかったけどみんなも知らなかったでしょ?本当はこうだったんだよ。意外だよね~」と言う「思いの共有」である。
仕入れた新しいマメ知識、前述の増上寺君にも披露する。
「人の歯ってさ、上顎と下顎があるでしょ。あれって、どうやって動くか知ってる?」
「下顎だけ動くんですよね」
なんとなくつまらない。


Posted by 金丸 : Comment(0) | 2006.1.11.